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<Author: 杜甫>
<Title: 古柏行>
<Format: 七言古詩>
<Year: 1988>
<BookName: 唐詩三百首詳解  上卷>
<Translator: 田部井文雄>
<style: 現代文無假名>
<style2: 日本現代譯文無假名標注>
<TranslatedTitle: 古柏行>
<BookPage: 313>
<UsedPage: 1>
<Feature: 0>
<End Header>
<Poem>
孔明廟前有老柏，
柯如青銅根如石。
霜皮溜雨四十圍，
黛色參天二千尺。
君臣已與時際會，
樹木猶爲人愛惜。
雲來氣接巫峽長，
月出寒通雪山白。
憶昨路繞錦亭東，
先主武侯同閟宮。
崔嵬枝幹郊原古，
窈窕丹青戶牖空。
落落盤踞雖得地，
冥冥孤高多烈風。
扶持自是神明力，
正直原因造化功。
大廈如傾要梁棟，
萬牛回首丘山重。
不露文章世已驚，
未辭剪伐誰能送。
苦心豈免容螻蟻，
香葉終經宿鸞鳳。
志士幽人莫怨嗟，
古來材大難爲用。
<End Poem>
<Translation>
諸島孔明のみたまやの前に、柏の老木があって、枝は青銅のようであり、根は岩石のようである。年月の君を経た樹皮は雨のしずくにうるおって四十かかえもあり、まゆずみ色の葉は天空にまで入りこむようにそびえて二千尺にも達している。蜀換の劉備と諸葛孔明との君臣はすでに時世を救うために、折よく出あったのであり、ここにある樹木でさえそのために世人に愛惜されることになったのだ。この古本に雲が流れてくると、その雲気は遠く長く巫峡にまで連なり、月が出て この木を照らす冷たい光は、雪山にまで白く続いている。

思い出すのは、かつて成都郊外の錦江のほとりにあった草堂の東を回って行くと、蜀の先主劉備と武侯諸葛孔明とが、同じみたまやに祭られていたこと。高くそびえる枝と幹は、成都郊外の原野に古びて立っており、奥深く静まりかえった赤や青の彩色したみたまやの戸や窓のあたりには、人の気配もなかった。柏樹は高大にそび、根をしっかりと張って、適地を得ているけれども、暗い空の雲気の中にひとり高くそびえているので、烈しい風を受けることが多いのだ。それを今まで助け支えてきたのは、やはり神明の力によるものであり、柏樹のまっすぐなのは、もとより造物主の働きによる。

大きな建物が、もしも傾いて、屋根を支えるうつぱりとむなぎが必要となれば、この柏樹の大木を運ぶのに一万万頭の牛にひかせても、頭を振り動かして丘山のような重さに苦しむであろう。柏樹の木理をあらわに見せなくとも、世人はすでにその大材に驚いているのだ。切り倒されることはいとわないが、いったい、だれが運送することができるというのか。柏樹の苦い芯も、どうしてけらやありの客を受けることをまぬがれ得ようか。そのかぐわしい葉には、これまでに、おおとりを宿らせたことがあったのに。しかし世の志ある人や、仁徳ある人々よ、うらみ嘆くことはやめよう。昔からこの柏樹のような大材は、世に用いられにくいものなのだ。
<End Translation>